2021年6月19日、防衛省は近代化改修するF-15Jに搭載予定だった新型対艦ミサイルLRASM（ロラズム）の採用を見送る方向で調整に入ったと報道されました。
　
それ以前に、F-15Jの近代化改修については予算が増加してしまった事が原因で2020年度の改修予算執行を見送り、事実上宙に浮いた状態になりました。
　
このまま行くと、近代化改修自体を断念するという可能性もあり得るとしています。

一体なぜ、F-15Jの近代化改修はここまで先行きが不透明になってしまったのでしょうか？

そして今後どうなってしまうのでしょうか？

という訳で今回は、F-15Jの近代化改修問題について紹介していきたいと思います。

本日のチャプターは次の通りです。
1：進化を続けてきたF-15J
2：マルチロール化を目指すF-15J
3：改修の大きな障害
　では参りましょう。

【1：進化を続けてきたF-15J】
　
1980年代から配備され始め、古い機体は既に40年近くという老朽機となっているF-15J。
　
しかし20年近く続いた調達の中で、絶えずアップデートは続けられており、製造後半の機体はJ-MSIPという能力向上型になっています。
　
2000年代に入ると、このJ-MSIP機に対する近代化改修が実施されます。
　
当初はレベルに応じて「形態Ⅰ型」「形態Ⅱ型」に分けられていましたが、後にこの区分けは廃止され、最終的な完成形を「統合電子戦改修機」と呼ぶ事になりました。
　
その具体的な改修内容は、新型のレーダーや中央コンピューター、電子戦装置の搭載、新型ミサイルの運用能力付与といった内部システムに関するものであり、外見上ではほとんど変化がありません。
　
ですが、改修機はコックピット右後ろにあった丸いルーパーがなくなっているのが特徴です。また、電子戦装置を新型化した機体は、空気取り入れ口の脇に水滴型のフェアリングもついています。
　
このような改修機は2007年から配備が始まりました。
　
しかし、このような改修が五月雨式に行われた事で、仕様の異なるF-15Jが複数存在する事になり兵站面の負担となり始めました。
　
そして2010年代に入ると、各国でステルス戦闘機の配備が本格化し始めた上、離島防衛への対応など安全保障環境の変化に対応する必要に迫られます。
　
こうして2010年代末には、さらなる改修計画が検討され始めるのです。

【2：マルチロール化を目指すF-15J】

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F-15J近代化改修を断念する理由とは？今後はどうなる？航空自衛隊戦闘機解説【凛護隊】

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