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【統合失調症】統合失調症は危険ですか?【精神科医が7.5分で説明】幻聴|早期治療|精神科

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0:00 (1)はじめに
0:15 (2)統合失調症について
1:42 (3)リスクになるのは急性期の陽性症状
3:28 (4)統合失調症の実際のリスク(安定すれば大きくリスクは減る)
4:04 (5)危険なのは「急性期」かつ「治療していない」状態
5:22 (6)どう受診につなげるか?
6:38 (7)まとめ

時に「統合失調症は危険」との意見を聞く事があります。しかし、リスクになるのは「急性期」でかつ「治療していない」状態です。治療をしっかりして安定するとリスクは大きく減ります。そのため早い段階の治療が大事です。

ご質問「統合失調症は危険ですか?」について、精神科医が7.5分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

こころ診療所吉祥寺駅前 kokoro-kichijoji.com/
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↓詳しい内容はこちらです。

(1)はじめに

「統合失調症は危険ですか?」というご質問についてお答えします。結論から申し上げると、「治療がうまくいくことでリスクは大きく下がる」ということです。統合失調症に関する正しい知識を持つことは、当事者や家族にとって非常に重要です。この記事では、統合失調症の特徴、症状、治療法、そして実際のリスクについて詳しく解説していきます。

(2)統合失調症について

統合失調症は、悪化したときに幻聴や妄想が目立つ脳の不調です。主に脳内のドーパミンの働きの過剰が背景とされており、脳の状態を整える抗精神病薬による治療と再発予防が重要になります。

統合失調症の主な症状は次の3つに分類されます:

**陽性症状**:幻聴や妄想など、急性期に目立つ独特な強い症状
**陰性症状**:意欲や気力が慢性的に失われ、行動や生活に影響する症状
**認知機能障害**:思考力や注意力などに障害が出て、生活や対人関係に影響が出る症状

統合失調症の主な治療法としては、以下の3つが挙げられます:

1. **薬物療法**:主に抗精神病薬を継続して服用し、症状の改善と再発予防を図る
2. **精神科リハビリ**:徐々に日中の活動を増やして生活リズムを取り戻す(デイケアなど)
3. **福祉資源の活用**:治療後も残った障害を補うため、必要な福祉サービスを利用する

また、統合失調症の経過は一般的に次の4段階に分けられます:

1. **前駆期**:不調の前触れの時期で、悪化すると急性期に移行
2. **急性期**:不調と混乱が強い時期で、時に入院が必要になる
3. **休養期**:精神状態は安定するが、陰性症状が特に目立つ時期
4. **回復期**:一定の改善が見られる時期で、再発予防と社会復帰を図る

(3)リスクになるのは急性期の陽性症状

統合失調症において実際にリスクとなるのは、主に急性期における陽性症状です。急性期には脳が非常に敏感になり、幻聴などの陽性症状が強く現れます。この時期は薬と休養で脳の安定化を図ることが重要ですが、困難な場合は入院が必要になることもあります。

ただし、急性期は治療が効きやすい面もあり、適切な治療が行われれば比較的早く回復することができます。

統合失調症の主な陽性症状としては、以下のものがあります:

**幻聴**:自分のうわさなど「ないはずの声」が聞こえる。特に「命令幻聴」に注意が必要
**妄想**:実際とは違うことを強く思い込む。特に「被害妄想」に伴う影響に注意が必要
**興奮と混乱**:強く過敏になった結果、混乱や興奮が生じてトラブルの原因になることがある

(4)統合失調症の実際のリスク(安定すれば大きくリスクは減る)

統合失調症は治療がうまくいくと、急性期を脱して陽性症状が目立たなくなります。その後は陰性症状などによる生活の困難が生じることがありますが、陽性症状が治療によって落ち着くことで、トラブルなどのリスクは大きく減少します。

統合失調症のリスクに関する研究では、「治療がうまくいくかどうか」「治療を継続しているかどうか」によってリスクが大きく異なることが示されています。全体的なリスク評価は調査対象によって意見が分かれる部分もありますが、少なくとも「治療をして症状が安定すればリスクは大幅に減少する」ということは確かだと言えるでしょう。

(5)危険なのは「急性期」かつ「治療していない」状態

特に注意が必要なのは、急性期にあり、かつ治療を受けていない状態です。この状況では陽性症状が強くなり、その影響も強まります。特に症状と現実の区別がつきにくくなったときには注意が必要です。理想的には外来での治療ですが、場合によっては入院治療が必要になることもあります。

治療していない状況としては、以下の3つが考えられます:

1. **未治療**:まだ受診していない状態。早期受診が長期的な予後を改善するとされる
2. **治療中断**:治療を途中で中断すると、薬がない状態(未治療)と同様になり、強い再発が起こることがある
3. **不規則な治療**:受診はしているが服薬が不規則または中断している状態。この状態でもリスクは残る

特に注意が必要な症状としては、以下のようなものがあります:

**命令幻聴**:幻聴の命令に従って行動する場合があり、内容によっては危険が生じることがある
**被害妄想**:迫害されていると妄想的に確信した相手への「反撃」としてトラブルが起きるリスクがある
**興奮と混乱**:周囲の刺激に強く反応して激高するなどしてトラブルに至る場合がある

(6)どう受診につなげるか?

統合失調症の治療を開始するためには、まず受診につなげることが重要です。基本的に外来受診には本人の希望が必要になりますが、「体調が悪い」などの違和感をきっかけに受診を促すことができます。しかし、時には受診が困難な場合もあります。

本人が受診を拒む場合、まずご家族が病院などに相談するという選択肢もあります。一方、暴力など危険な行動が実際に見られる場合には、警察に相談する必要があることもあります。

受診や相談の場所としては、以下のような選択肢があります:

**精神科クリニック**:軽症で自発的な受診であれば対応可能ですが、陽性症状が強い場合は対応に限界があります
**精神科病院**:症状が強い場合でも対応が可能で、本人の受診が難しい場合には家族相談を受け付けていることもあります
**保健所など**:本人の受診が困難な場合、まず家族が保健所に相談して対策を考えることができます

(7)まとめ

統合失調症は時に危険というイメージを持たれることがありますが、実際にリスクとなるのは急性期の陽性症状であり、適切な治療によってリスクは大きく減少します。一方で「急性期かつ治療していない状態」では、強い陽性症状からのトラブルリスクに注意が必要です。

対策として最も重要なのは、治療を開始し継続することです。本人が受診を拒む場合は、家族が精神科病院や保健所などに相談することも選択肢となります。正しい知識と適切な対応で、統合失調症の方とその家族の生活の質を向上させることができるでしょう。

こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)

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【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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